CONNECTED
AIR
/ 接続された空気
空気を満杯に孕んだ『接続
された空気』は、高さ530cmの巨大な透明球体である。電機に接続したタービンが恒常的に風を送り込み、この球体に命を吹
き込んでいる。流動する空気は周辺の空気と繋がって在る。したがって、この透明な
球体は、地球全体の空気のごく一部をおし包んだものである。いわば、『接続された空気/Connected
Air』は、世界へわれわれの思いをテレポートする小さな泡粒のようなものであろう。
池には直径1,5mの二つ
の空気で膨らませた球体を浮かべた。球体のひとつには、水が入っている。水の重さで動きが鈍く、内部の温度が上昇して水が蒸発
し、内壁が白く水蒸気で曇るのを観察することができる。この二つの球体の見え方と動きの違いは、数リットルの水の存在の有無によるものである。
DOMESTICATED
WATER /
服従した水 2003
水を張った池に呼応するよ
うに、芝生の上にも大きな水滴『飼いならされた水』の一群を設置した。透明クリスタルのソフトビニルの中に「捉えられた水」の水
滴の大きさは直径1.8m、水の量は約150リットル。水は、池の水とともに『飼いならされた水』もフリューオレセインで蛍光緑色に染められている。
フリューオレセインとは、
水道局が利用した人工の化学染料で、60年代から70年代にかけて、主に自然の中の地下水の流れやその動きを突きとめたり調査し
たりするのに利用された染料である。UV光線で消滅して自然を汚染せず、水に色をつけるだけというごく原初的な方法で役に立つという人間の知恵が生きた
「色」であるということができる。フリューオレセインで染められてビニルの中に捉えられた水である『飼いならされた水』は、自然のなかで人間にこうして追
跡されて捉えられた水のかたちということがでる。
水の中に底なしの黒い穴が
開いたようにクリスタル・ビニルの底に黒い円形のシートが貼られているが、蛍光緑色の水がこの上を通るとき、水はさらに鮮やかな
緑に様変わりして見る。黒が一部、光のスペクトルを吸い込むからで、ゼラチンのように透明で黄緑蛍光色の水の中心に緑の瞳孔が開いた「目」のような水が、
地上に湧き出して芝生の上に点在する感覚である。
(S.Hirakawa) |
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Connected Air / 接続された空気
2003
直径5メートル、高さ5メートル30センチの透明球体 (透明PVC、送風タービン、木、空気、電気)、
および、直径2メートルの球体1個、1メートル50センチの球体2個 (透明PVC、空気、水) |
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Domesticated Water /
服従した水 2003
直径180cmのエレメント4個、直径150cmのエレメント4個
(水、透明PVC、フリューオレセイン、木) |
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