Shigeko HIRAKAWA
-  神々の滑り台


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神 々の滑り台 2006  (長さ 66m)






第四回コンテンポラリーアート・ビエン ナーレ
自然のうちとそと 
環境アート野外展 Les Environnementales 2006
2006 年5月6日 - 7月2日

テ コマ/TECOMAH環境大学企画、制作支援 
フ ランス、ジュイ・アン・ジョザス

展 覧会コミッショナー:
ジャン=マルク・バロゾ(Jean-Marc Barroso)


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《神 々の滑り 台》 2006

人 間の領域支配と経済管理が地球全体を蓋い、地球は巨大な「経済の庭」と化している。自然は急速に変化をきたし、人間の横暴に逆襲するかのように荒れ狂い、 地球の各地に大きな災害をもたらしている。拡大する自然災害への脅威は、自然に対する人間の本能的な恐れをあらためてかきたてている といえないだろうか。人間の恐怖心というものはおそらく、太古の昔から変わることなく心の奥に巣食い、人間の力の及ばないところにはさまざまな信仰がそれ を和らげるために存在 していたのだろう。

このプロジェクトにおいては古代の世界へとワープし、忘れられた自然と人間の原始のかかわりへと立ち戻ってみようと考えた。太古、日本は八百万神を有し、自然界の木や石や水や山などといったひとつひとつのものが魂を持っていた。神々は高天原に住み、高い山や木を伝って地 上に下り、地上界のものと交流していた。 経済の庭といったけれど、「庭」は古代、農作の安全と豊作を願って祈るための神聖な場所とみなされていたという。庭は、田畑へ出て農耕する前に自然界の荒ぶる神を鎮め仕事をつつがなく行うための祭祀場だったのだ。 八百万神のうち、庭の神は、農業神の息子の庭津比古(にわつひこ)とその弟庭津日比古(にわつひのひこ・庭の太陽神)。この二神がおそらく、共に自然の恩恵を祈り、人心を安んじるための人々の祭祀の中心だったのではない かと想像される。

そこで、現代の人間社会の活動が原因で猛威を振るいだした自然に対峙し、湧き上がる人々の恐怖心を少しでも和らげようと、これら庭の神々を地上へ呼び寄せて力になっ てもらうことにした。 神々がここを目指して降臨できる巨大ランド・マーク、『神々の滑り台』プロジェクトは、こうして生まれたのである。
  平川滋子



神々の滑り台

コンセプト誕生-2004年11月。制作-2006年3~4月。
滑り台:全長66m、農業用特殊合成繊維(アルミニウム、PVC)、フラフープ100個。
二本の木-高さ30m、幅10m。








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神々の滑り台 2006

長さ66mの布のトンネル、高さ30mのならの木二本
特殊繊維、アルミニウム、フラフープ100個





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カタログ:
第四回現代アート・ビエンナーレ、Les Environnementales, 自然の内と外
文 Jacques Leenhardt
Tecomah/ テコマ、環境生活大学主催 Ecole de l'Environnement et du Cadre de Vie, Jouy-en-Josas,  France