Shigeko
HIRAKAWA
平川 滋子

アーカイブ 1

脱色から絵画の逆まで (1989 - 1999)


脱色は平川滋子のクリエーティブな仕事 の一部である。平川はもともと絵描きであった。すでに70年代、西洋絵画の方法論へ徐々に疑問を持ち始めていた平川 は、絵の具の塗り重ねで絵画が成立することへ、ひとつの終止符を打とうとした。「世界に色は既に豊富にある。多くの色をいまさらに使う必要もないのではな いか」。 こうして1989年、平川の脱色作業は始まることになった。

 
1989 Potential Source 1
初めての脱色
インスタレーション面積: 10m x 10m x 高さ4m
赤い布、ブリーチ剤、
コンクリート容器、水
写真手前は着色インスタレーション: 長さ10m
白い布、青色ペイント、プール
(フランス、ロシュフォール)
     
 
1990 Potential Source 2
脱色インスタレーションNo.2
インスタレーション面積:
8m x 6m x 高さ3,2m
壁の作品:4,5m x 1,5m
赤い布、水、ドラム缶5個
(ギャラリー・コーレンホフ、ドイツ、ニュルンベルグ)
   
 


脱色インスタレーションは、赤い布をプリーチ剤の入った水に漬け込む作業部分を 切り取ってみせたものであ る。普通の絵画は白いキャンバス布を絵の具で覆うが、ここでは目に見える色を消してゆき、布のうちに隠れた色をあらわにしていく。物理的にまったく逆の行 為をすることによって、作家は見えないものを顕然とみせようとするのである。脱色された部分からは、微妙な色の変化が読み取れる。いろいろな色から作家が 赤を好んで選ぶの は、この鮮やかな赤の下に黄色が隠れているからで、脱色が鮮烈なグラデーションを見せてくれるからである。つまり、脱色は、この一事において、隠れた色を 掘り起こすことを指しているのである。
 
1991
無題
2,5m x 高さ2,7m
脱色した黒い布、
ホース
(ギャラリー・
ジャック・ロスラン、
フランス、アヌスィ)


     
 
1992 脱色布のインスタレーション
幅4,5m x 高さ3,7m
(ギャラリー・
パスカル・ポラー、
ベルギー、ブラッセル)
     
 


1992 初めての野外脱色
エレメント: 3m x 2,6m
赤い布、楕円形のプール、
脱色剤、水
(ギャラリー・
パスカル・ポラー、
ベルギー、ブラッセル)


結果

 
 

 野外脱 色は、コロナのように燃え上がる太陽の炎を布の上に刻んだ。このとき以来、太陽は、脱色の必須条件となって、1999 年まで続く。

1993
脱色工場

10m x 7m x 高さ3,7m
ブラッセルのギャラリーの庭で脱色した3枚の布、
木のストラクチャー、
紫の布
(ギャラリー・
エスパース・アルシデ、
パリ)

     
 
   
アトリエ

 赤い楕円 1993
230 x 165cm
(private collection)


青い楕円 1992
230 x 165 cm
(private collection)
 
 
1993 脱色と破壊
11m x 高さ3,8m
(ギャラリー・インパーツ、
ポーランド、ブロツワフ)
   
 
1994 夏の脱色 (左)
冬の脱色 (右) 1993
エレメント:
260cm x 高さ300cm
(ギャラリー・ルナミ、東京)
   
 
  トーラスの脱色の始まり

太陽が必須エレメント
     
 

脱色剤は化学薬品であるから、反応に歯止めが利かない。「したがって、どこかで私が介入する必要がある」 と、平川は言う。脱色はその時々によって違った 様相を見せるので、そのたびに対応方法を変えなければならない。監視の目をゆるめると、布そのものが溶けてしまったり、また介入が早すぎると脱色が進ま ず、布に何の 痕跡も残らないで終わったりもする。
ブリーチ剤を入れる器が楕円であり、またはトーラス型をしていることで、脱色の軌跡が明快であることに気づくことができ るだろう。
 
1995

トーラスの脱色  1995
14枚の脱色した赤い布、
各布の大きさ : 260cmx300cm
(フライブルグ市民ギャラリー、ドイツ、フライブルグ)


(private
collection)

Cosmogony 1995
インスタレーション : 高さ3m x 7m
(ギャラリー Tom、
東京)

 
    絵画の逆シリーズAnti-painting (Dé-peindre) 1996
直径154cm
赤い布の脱色、
木製パネル張り
 
 
1998 絵画の逆 (Dé-peindre) 1997
インスタレーション:
幅7,5m x 高さ2,75m
275cmx150cmの大きさの
パネル4枚
(ショワズィ・ル・ロワ市庁舎、フランス)

 アトリエ
   
 
   

Anti-painting Dé-peindre / Tore & Torus 1995-97
3m x 高さ8m
脱色した布
(ショワズィ・ル・ロワ市庁舎、フランス)
   
 
1999
東京大学大学院数理科学研究科所蔵
五つの赤い宇宙 設置全長15m
五つの赤い宇宙 1999
エレメント: 直径154cm
設置全長15m
脱色した赤い布、木製パネル張り、アクリルニス
(東京大学大学院数理科学研究科所蔵、東京目黒区駒場)